【新書】地域多様性を保ちつつ一元統治を行った巨大帝国
歴史
2025.04.22

『オスマン帝国全史』
-「崇高なる国家」の物語 1299-1922
宮下 遼 著 | 講談社(講談社現代新書) | 528p | 1,650円(税込)
はじめに――崇高なる国家、あるいはオスマン世界
1.辺境の君侯
2.海峡をまたぐ王朝
3.大征服時代、世界帝国の誕生
4.壮麗王の帝国
5.成熟の帝国
6.改革の世紀
7.専制と革命
8.帝国の終焉
終.オスマン語が語る世界
【イントロダクション】
バルカン、ウクライナやシリア、パレスチナ、イラクといった地域では、現在も混乱が続いている。しかし、該当する広大な地域を長きにわたり統治した国家がかつて存在した。オスマン帝国である。
イスラーム教、正教、ユダヤ教、カトリック教など異教徒同士が住まうこの帝国は、100年ほど前までその命脈を保っていた。
本書では、13世紀末の建国から、西ユーラシア最大の帝国として栄え、欧化改革を経て1922年に滅亡するまでの、オスマン帝国の600年にわたる歴史を通観する。
広大な領土を有し多民族・多宗教国家となったオスマン帝国は、「オスマン家」を帝王としながらもその支配は放任的で、臣民の言語や信仰の多様性を許容していた。一方で、「御門(みかど)の奴隷(カプ・クル)」という仕組みによって軍隊や宮中の人材を確保・育成し、一元統治のための強力な組織を構築していたという。
著者は大阪大学大学院外国語学部准教授。専門はトルコ文学(史)。著書に『物語 イスタンブールの歴史』(中公新書)など、訳書にオルハン・パムク『わたしの名は赤〔新訳版〕』(早川書房)などがある。
新規会員登録(無料)をすると本ダイジェストの続きをご覧いただけます。(2025年5月8日まで)会員登録はこちらから
既にSERENDIP会員の方は本ダイジェスト全文を下記から閲覧いただけます。
法人の会員はこちら
個人の会員はこちら